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プログレッシブ・ロックの雄、EL&P

プログレッシブ・ロックの雄、EL&P_a0052854_1213879.jpg60年代後期、多様化するブリティッシュロックの中で、メインストリームでビートルズやローリング・ストーンズが活躍する一方で、アンダーグラウンドではサイケデリックやフリージャズといったニュアンスの音楽を取り入れ、実験的(プログレッシブ)な試みを行うバンドがいくつか存在していました。その中から、より個性と発展性を打ち出し登場したのがピンク・フロイドやキング・クリムゾン、イエスなどです。特に69年に「クリムゾン・キングの宮殿」を発表しメインストリームに登場したキング・クリムゾンがシーンに与えた影響は大きかったようです。当時、このアルバムは不動の人気を誇ったビートルズの「アビ-ロード」から全英1位の座を奪い去ったのです。そのキング・クリムゾンのヴォーカル、グレッグ・レイクがキング・クリムゾン脱退後にキーボードのキース・エマーソン、ドラムのカール・パーマーと70年に結成したのがこのエマーソン、レイク&パーマー(以下EL&P)です。数あるプログレのバンドの中でも、一番ジャズに近い編成で、スリリングな演奏を聴かせてくれる大好きなバンドです。プログレッシブロックのシーンは雨後の竹の子のように多くのフォロワ-を生み出し、70年代には一時代を築きましたが、その後、奇しくも同じ国から出現するパンク・ロックにとって変わられ80年代には過去の遺物となってしまうのですが、実験性の高い名盤も多く残されています。アメリカでジャズがロックやその他の音楽要素を取り入れフュージョンになったように、イギリスでは同様にロックがジャズやその他の音楽要素(ココではクラシックも含む)を取り入れプログレッシブ・ロックと呼ばれたのではないでしょうか。いわば全世界的に、音楽のジャンルを取り払い、新しい音楽を標榜した時代だったと思います。この「フュージョン」と「プログレッシブ」という言葉の意味合いは「融合」と「実験」ですが、言葉は違えど、意味合いは同じなんでしょうね。このアルバム「タルカス」はEL&Pが71年に架空の生物タルカスをテーマにしたコンセプトアルバムです。20分にも及ぶ1曲目「タルカス」は物語を読むように目くるめく展開が繰り広げられます。実験的なロックというと難しい印象を受け、一部の評論家やマニアにしか理解できないように思われがちですが、全然そんなことはないですよ。一時代を築いた本物のアルバムです。殿堂入りの超名盤です。

EL&P 「タルカス」 ’71年発表
by beatnikshop | 2006-03-03 12:57 | MUSIC